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唇に媚薬
第11章 純真なカノジョ

都内各所に展開する、ブランド系列店の中で
銀座店は売上TOPに君臨する路面店。

ナチュラルな服がメインだけど、店内はセレブ需要の為
それはそれは煌びやかな内装に仕上がっている。


「お疲れ様です」


お客さんが途切れたタイミングで
カウンターに近付いて、領収書の控えを束ねている店員に声を掛けた。

見た目20代前半の女性スタッフ。
長いまつ毛を揺らして、チラッと横目で見られる。


「本社の早坂です」

「………」

「間違って届いた新作アウターを、引き取りに……」

「あ、困りますぅ」


……ん?

困る、だと?
こっちは軽く会釈もしたのに、なぜか途中で冷たく遮られた。


「そんないきなり喋られても、あたし分かんないんでー」

「……は、はぁ」

「今店長呼ぶんで、直接にしてくれませんかー?」

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