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唇に媚薬
第11章 純真なカノジョ

……初対面だっつーのに、ずいぶん態度悪い子だな。

前から感じてはいたけど
現場の販売スタッフは、本社の人間をやたら敵対視する傾向がある。

でもさ
同じ会社なんだからさ~
仕事なんだし、表面だけでも仲良く出来ないのかしら~


「……お忙しいところ、ごめんなさい」


お局的な本音は心の中に留めて、大人な私はニコリと笑って頷いた。

……なのに


「……ふんっ」


プイッと顔を背けて
店員の女の子は、レジ横のバックヤードに振り返る。


「店長~、
本社の “ なんとかさん ” が来ましたよ~」

「………!」


……な、なんとかさんだと!?
私ちゃんと名乗りましたけど?

ムカッときて身を乗り出そうとすると、その子は物凄い不機嫌そうに溜息を漏らした。


「あーぁ、姫宮さんに会いたかったなぁ」

「………!!」

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