この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第11章 純真なカノジョ
……あーはいはい
そういうことですか~なるほどね~
最近の若い子は正直で気持ちがいいわぁ~~
血管がピキピキと切れるのを感じながらも、何とか偽のスマイルを保つ。
イケメンMDにお近付きのチャンスだったのに
代理のアラサー女が来て、さぞガッカリしたことでしょう。
「……はは、こりゃ納得だわ」
なおもブツブツ愚痴をこぼす彼女を見て、実感したよ姫宮さん。
あなたが店舗巡回を嫌がる理由、激しく同意……
と、その時
「コラ、何様なのあんたは」
「………!」
「しょ~もない事言うんじゃないの」
特徴のあるハスキーボイスが、バックヤードから飛んできて
顔を上げると……
「ごめんなさい、早坂さん。
この子、まだまだヒヨッコの新人チャンなんです」
「……あ……」
「私の教育不行き届き、どうかお許しくださいね」
艶のある黒の無造作なショートヘア
トレードマークである、大きな十字架のピアスを揺らして
銀座店の店長さんが、私にペコッと頭を下げた。