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唇に媚薬
第11章 純真なカノジョ

「い、いえいえ。 頭上げてください!」


店長は全くもって悪くないし!と、慌てて手を振ると
彼女はゆっくりと上体を起こして、白い歯を見せて笑った。

あ~良かった。
その笑顔を見て、心がホッとした。


「わざわざお店まで来てもらっちゃってすみません」


カウンターの中に私を招き入れて、店長はニコニコ顔で続ける。


「お店が終わったら、あたしが本社まで持って行こうかなって思ってたんです」

「……そ、そんな!
ごめんなさい、閉店間際に押しかけちゃって……」

「とんでもないですよ~。
早坂さんこそお忙しいのに、ありがとうございます♡」


~~な、なんてイイ人なのーー!
ほんと好き!大好き!

さっきまでのイライラは吹っ飛んだ。

しばらく来てなかったから、忘れてたけど
銀座店の店長だけは、他の販売スタッフとは違うんだ。

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