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唇に媚薬
第12章 相棒流儀

……寂しがり屋な私は、1人では飲めない。

だけど、最初から葵以外の誰かを探すつもりは無かった。
諦めた携帯をバッグにしまって、エレベーターのボタンを押す。


「……帰って、早く寝よう」


残業をする気力が無くなってしまって、こうして帰るわけだけど
仕事は消えてはくれないから、明日早く出勤しなきゃ。

……こんな気持ちで、眠れるのかな。
不穏なドクドク感が、こんなにも残っているのに……


溜息を漏らしたタイミングで、エレベーターの到着音が聞こえて
乗り込もうとした……その時


「……あ?」

「………!!」


開いたエレベーターの中から、姫宮さんが出てきた。
バッタリと鉢合わせして、思わず後ずさり。


「~~び、びっくりし……」

「なにお前、帰るの?」


眉間にシワを寄せて、ジロリと睨まれて
私を見下ろす彼の後ろで、無惨にもエレベーダーの扉が閉まった。

~~って、ちょっと!
乗りたかったんですけど!

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