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唇に媚薬
第12章 相棒流儀
「も~~! 行っちゃったじゃないですか!」
左に点滅していく階数ランプを見上げながら、下りのボタンをカチカチ連打。
誰かと外で電話をしてきたのか、姫宮さんの手には携帯だけが握られている。
「アウターは?」
「デスクに置きましたよ!」
「へー、ちゃんと持って戻ってきたんだ」
「はい!?」
「遅っせーから。
放置して帰ったんじゃねーかと思ってた」
~~んなことするか!
人の気も知らないで!
心を落ち着かせる為に、少し歩いてきたの!
「店長さんとお話が盛り上がっちゃったんです。
それだけです」
「………」
「任務は終わったので、私はこれにて失礼します!」
あーもう3機とも全て遠いし。
この時間、帰宅ラッシュだからなかなか止まらないのよね。
溜息をついて、ボタンから手を離すと……
「………!」
隣りから、シャラッとブレスレットが揺れる音が聞こえて
姫宮さんの手が、私の左腕を掴んだ。