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唇に媚薬
第12章 相棒流儀
彼氏自慢をするウザい女。
途中から相槌すら止めた姫宮さんに気付いて、口を閉じると
「……なんか、引っかかったけど。
ま、いーや」
「えっ?」
「それで?
その大好きな彼氏がモテまくりで心配っつー話?」
何かに気付いた素振りだったけど
話を戻すように聞かれて、暫し沈黙する。
……葵がモテるのは、もう慣れてるし
束縛したいとか、そんな可愛いこと言える歳でもない。
ただ……
「……怖いんです」
「怖い?」
「はい。
彼と一緒に過ごす時間は、 “ 彼女 ” の方が多いから……」
今まで何とも思ってなかった、葵の環境が
途端に不安材料になって、気になって仕方がなくなってしまった。
それはきっと
会社の前で2人が並んで帰る姿を見た時から、始まっていて
おととい、待ち合わせは駅前って言われたのを無視して
会社まで押しかけたのも、その反動からだ。
……ピュアな彼女の気持ちを知ったら、葵も好きになっちゃうんじゃないかな
なんて、考えただけで……怖い。