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唇に媚薬
第12章 相棒流儀

「……お前と同じ、アシスタントね」


……結局
葵と付き合った経緯から、佐伯さんの告白を聞かされた所まで
聞き上手な姫宮さんによって、私は想いの全てを吐露してしまった。

冷酒に切り替えた彼は、少しの間黙っていたけど


「第三者の立場としての、見解を言えば」


しばらくしてからそう呟いて、小さく溜息をついた。


「早坂も、その佐伯ってアシスタントも
勝手な妄想を膨らまして、無意味に暴走してるだけだろ」

「………!」

「彼氏からしたらいい迷惑だな」


妄想?
暴走?

……佐伯さんだけじゃなくて、私も?


「たまたま聞こえた噂話を、真に受けて
お前に詰め寄ったその女はもちろんアウトだけど」


私が怪訝な顔をしたから、姫宮さんはふっと笑う。


「彼氏とアシスタントが、実際どうかなんて
妄想するだけ無駄」

「………!」

「いくら恋人のお前でも、そこには入れない。
入るべきじゃない」

「………っ」

「理由は簡単。 分かるか?」


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