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唇に媚薬
第12章 相棒流儀

「……でも」


分かってはいるけど、胸のつっかえが取れない。


「……アシスタントの彼女、本当に可愛いんです。
若くて、小さくて、守りたくなるような……」

「だから、それがお前の勝手な妄想だっつってんの」


心底呆れた声で、バッサリ遮られた。


「今の、彼氏が実際言った言葉なわけ?」

「……いいえ……」

「可愛くて若くて小さい女だったら、全ての男が落ちるとでも思ってんの?」

「……違うんですか?」

「んなわけあるかボケ」


一気飲みしたグラスを置くと
姫宮さんは肘をテーブルに付いて、人差し指と中指を立てた。


「いいか、お前の間違いは2つだ」


ぐいっと顔の前に突きつけられる。


「空想の世界を作り出して、必要のねぇ焦りや悲しみを感じるな」

「………!」

「相手を自分の物差しで測るんじゃねぇ」

「………っ」

「もっと堂々としてりゃいいんだよ。
……大事なことは何なのか、シンプルに考えればちゃんと分かるだろ?」

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