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唇に媚薬
第13章 同じキモチ

はぁっと溜息をついた綺麗な横顔。
ネオンによってキラキラと光っていて、私の心臓はドキドキと高鳴る。

まるで恋愛の教祖様みたいではないか。
この人の教えを文字に起こして家訓にしたい。

我ながら素敵な相棒を持ったもんだ。


「いい男ですね、姫宮さん」

「当然だ」


素直に褒めても、またしてもこの返し方。
まぁ、事実なんだけど。


「葵が絶対的に1番ですけど
姫宮さんが独身だったら、私確実に惚れてました」

「へー。でも俺は惚れないけどね」


バッサリ!

あ~はいはいそうですか!
ほんと対象外なんだなぁ~私って。


「お前がどうとかじゃなくて。
生まれ変わっても、俺は嫁一筋だから」

「………!」

「じゃあな、早坂」


信号が青に変わって、姫宮さんはスタスタと歩き出す。
去る間際の瞳に、普段見られない優しさが見えた気がして


「……くそぅ、やっぱりいい男だ」


人混みに消えた背中に向けて、私は小さく呟いた。

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