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唇に媚薬
第13章 同じキモチ
……興奮して起立したはいいけど
葵が沈黙して、周りにいる人達にチラチラと見られたから
いそいそと元の位置に座り直す。
「………」
こんな短い間に、アホみたいなテンションで
どんだけアップダウンしてんのよ私。
“ 自分が弱ってる時は
相手にとっちゃ何でもねぇ事を、ネガティブに捉える習性があるから ”
……姫宮先生。
あなたはそう言って心配してくれましたが
あなたのお陰で、自分でも引くほど前向きになれたみたいです。
って、それより……
「あ、葵……」
自分の発言を振り返って、サッと血の気が引く。
既に激務な人に向けて、 “ 働かなきゃだめ ” って……
「い、今の無し。
空気読めないこと言ってごめんね」
『………』
「仕事しろって
そーいう意味で言ったんじゃ、決して無くて……」
慌てて釈明しようとした、その途中で
『……ははっ』
電話の向こうから、葵の笑い声が聞こえた。