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唇に媚薬
第14章 涙の先に

・・・なんだその質問。


「………」


・好きな女性
・別の男の人
・同じ気持ちじゃなかったら……


「……佐伯。
俺が居ない間に、なんか見たのか?」


言葉のピースを組み合わせたら、俺の返事は自然とそうなる。

根本的な理由を探ろうと、揺れる瞳を見つめたけど
そんな俺から逃れるように、佐伯はぎゅっと目を瞑った。


「い、いえ……何も」

「……その質問に答えれば、お前の相談事に繋がるわけ?」

「…それは……」


あーぁ、結局黙っちまったよ。
優しく聞いてるつもりなんだけど、この口調じゃだめだな。


「おい、通訳」


拙い言葉でも、相手の表情を読めば瞬時に理解できる俺だけど
マジで意味が分からなくて、溜息をついて蓮を呼んだ。

早速頼るハメになるという……


「……つまり、今のを訳すと」


カップを置いて、蓮はふっと笑う。


「 “ 私は瀬名さんに、心から笑っていてほしいんです ” 」

「「………!」」


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