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第14章 涙の先に

「……蓮」


螺旋階段を上がる、その姿が見えなくなると
半ば放心したまま俺はイスに腰を下ろした。


「…俺……」

「無神経野郎」

「………！」

「鈍感バカ男」


さっきまで微笑んでいた奴と、同一人物かと疑う程
冷たい声で蓮が言い放つ。


「相手の “ 嘘 ” で、やっと気付くってどんだけだよ。
何度もアラート出してやったのに、素で無視しやがって」

「………」

「反省なんてするんじゃねぇぞ。
意味無いし、今更遅いからな」


……俺が喋ってるんじゃないかって錯覚するくらい
ザクザクとブッ刺してくる蓮。
全部その通りだから、なんの異議も反論もねぇけど


「……どうすりゃいいわけ」


情けない台詞を言ってるって分かってるけど
縋るようにお告げを求めた俺に対して、蓮は溜息を漏らした。


「自分で考えろ。
俺は教師でも教祖でもない」

「………」

「自分に想いを寄せる女と、今まで通りの関係を続ける方法
経験豊富な瀬名なら分かるだろ」


……もう、なにも聞けねぇ。