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唇に媚薬
第15章 Yours forever

「………!」


残り2メートルくらいの位置で、葵が顔を上げた。
真っ直ぐ向けられた瞳に、ドキンと心臓が高鳴る。


「……蘭」

「……っ」


口角を上げて、低い声で名前を呼ばれただけで
吹き飛ばれそうな程の爆風が吹き荒れた。

……ちょ、ちょっと待って。
頼むから落ち着いて、私。


「お、お、おかえ、り……」

「あぁ、ただいま」

「………っ」

「……? なんだよ」


口がパクパクしてしまう私に、携帯をしまった葵が近付いてきたから
思わず1歩後ろへ下がってしまう。


「おい」

「~~だめ、ちょっと待っ……」

「はぁ?」

「ストップストップ!」


って両手を突き出して叫んだのに、葵は怪訝な顔で更に寄ってくる。


「迎えに来てやったっつーのに、なんだその態度」

「だ、だって」

「自分は何度も押しかけて来たくせに
俺が同じ事したら迷惑なんですかー?」

「ち、違……っ」


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