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唇に媚薬
第15章 Yours forever

……う、もう、ダメだ。

淡い照明に照らされた、その美しい横顔を見るだけで
呼吸困難になりそうなほど、胸が苦しい。


「……どうして、私なの?」


聞いた瞬間、何言ってるんだろうって自分でも思った。

涙腺崩壊寸前な程、感激してるのに
どうしてこうも素直になれないんだろう。


「葵、あなたはめちゃくちゃイイ男なんだよ。
仕事はできるし、外見も中身も申し分ない」

「……そりゃ、どうも」

「それに比べて私は!
我儘だし自己中だし、性格悪いし傲慢だし……っ」


葵が私を好きでいてくれることが奇跡だ。

幼なじみとはいえ、今までは一定の距離を保っていたわけだし
付き合い始めたばかりなんだから、葵は私の全てを知らない。

結婚なんてしたら、ずっと一緒にいるわけで
そうしたら、ますます……


「そんな風に自分を下げんなよ。 俺は…」

「だって!」


葵の言葉を遮って、私はぎゅっと目を瞑った。


「怖い。 嫌われたくない」

「………!」

「葵に、嫌われたくないの…っ」

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