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唇に媚薬
第16章 唇に媚薬
……呼吸が乱れて、なかなか息が整わない。
「……あ、葵……」
「………」
なんとか名前を呼んだけど、声さえも上手く出せない事に気付く。
そして
いつもなら、平然と2回目へと進む葵が
私の体を抱きしめて倒れたまま動かない。
「もう、死んじゃうかと思った……」
「……俺も」
「………!///」
「腹立つ。
なんなの、お前……」
……私の顔の横に突っ伏したまま、葵が溜息を漏らした。
拗ねたように言った “ 腹立つ ” に
キュンとしちゃう私って……
お互いの体がまだ熱くて、ドキドキが治まらない。
ずっとこのままくっついていたい。
「……水……」
おでこにキスを落としてから、葵がゆっくりと起き上がった。
私は全く動けないから、その横顔を見つめるだけ。
「………///」
……汗の光る額から、セットの乱れた短髪をかき上げて
クローゼットからスウェットを取り出す、なんてことのない仕草が
私を心を躍らせて、胸をきゅうっと狭くさせる。
……重症だ。