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唇に媚薬
第3章 強情プリンセス

「……蘭」


携帯を切った葵が私を呼ぶ。
あぁ、ドキドキが凄い。
一週間前とは何かが違う。


「お前、面白れぇな」

「……えっ!?」


面白い!?
な、何が!?
ダラダラ汗が止まらない私を見て、葵は口角を上げる。


「到着ロビーで行ったり来たり
狭い距離でウロウロしすぎ」

「………!!」

「隣りのカップル、至近距離でガン見しすぎ。
小学生かお前は」


なんと!
先に葵に見つけられていたとは!

失敗だ!
まったくもぉ、やっと来たわね~みたいな感じで
気怠く嫌々出迎える予定だったのに!


「……で、何で?」

「え!?」


目を瞑って心の中で叫んでいたせいで、最初が聞こえなくて
再び葵に視線を戻すと、葵は私を真っ直ぐ見ていた。


「ここで、俺を待っていた理由は?」


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