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唇に媚薬
第3章 強情プリンセス
“ キスした理由を聞きたくて ”
……さらっと言えばいいのに、どうして黙っちゃうかな私。
さっきから、心も体も変なんだ。
「蘭?」
「………っ」
葵の深い瞳が綺麗で、吸い込まれそうで
私が写ってるってだけで、なんだか嬉しくて……
嬉しい?
な、なぜ?
違うって!
「しゅ、週末で休みだもの。
“ 珍しく ” 時間があったから……」
「別にいつも通り会社の近くでいいだろ。
わざわざ……」
「だって空港なんて滅多に来れないし!
しかも成田じゃなくて羽田だから近かったし!」
「…………」
「カ、カナダとの直行便があるって、凄…い、ね……
……っ」
勢いよく切り出したのに
途中から何かが胸に込み上げてきて、また話せなくなってしまった。
「……はは、変な奴」
「………っ」
……ねぇ葵。
私も変だけど、葵も負けてないよ。
だって
目を細めて、そんな風に柔らかく微笑む貴方を
私、今まで見た事無いもの……