この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第16章 唇に媚薬
「私、今姫宮さんのアシスタントしてるのよ」
「………」
「そういえば葵と同い年ね……って、あれ?」
「………」
「なによ葵、姫宮さんの事知ってるの?」
表情がどんどん曇っていく葵を見て
毛布を手繰り寄せながら尋ねると
「……マジか……」
額に手を付けて、葵がはあ~っと息を吐いた。
え?
なになに?
その溜息なに!?
「……俺、あいつに泣かされたんだよ」
「……えっ!?」
「泣いたことなんて一度も無かったはずなのに
……思い出した」
~~あ、葵が
泣く!?
擬態語が当てはまらない、年中マイナス気温のこの男が!?
しかも姫宮さんに!?
「なにそれなにそれ!」
「………」
「ねぇ、どういうこと!?」