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唇に媚薬
第16章 唇に媚薬

「私、今姫宮さんのアシスタントしてるのよ」

「………」

「そういえば葵と同い年ね……って、あれ?」

「………」

「なによ葵、姫宮さんの事知ってるの?」


表情がどんどん曇っていく葵を見て
毛布を手繰り寄せながら尋ねると


「……マジか……」


額に手を付けて、葵がはあ~っと息を吐いた。

え?
なになに?
その溜息なに!?


「……俺、あいつに泣かされたんだよ」

「……えっ!?」

「泣いたことなんて一度も無かったはずなのに
……思い出した」



~~あ、葵が

泣く!?


擬態語が当てはまらない、年中マイナス気温のこの男が!?
しかも姫宮さんに!?


「なにそれなにそれ!」

「………」

「ねぇ、どういうこと!?」


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