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唇に媚薬
第1章 理想と現実
私、捻くれてるのか。
29歳にもなって、それってどうなんだろう。
でも、正直言って……
「……捻くれてるんじゃないのよ。
曲げてもないし、歪んでもいない」
「は?」
「だって本心なの。
普通の幸せっていうのが理解できないだけ」
「………」
「結婚はしたいけど、子供はいらない。
だから本当に、羨ましくないの」
目線を合わさず、同じ方向を見つめる葵と私。
42階のBARの窓からは、都内の夜景が一望できるけど
雨が降り続く今夜は、東京タワーの灯も滲んでぼやけている。
「……終わってんな」
煙草を灰皿に潰すと、葵はふっと笑った。
「決定。
蘭(らん)、お前は結婚できねぇよ」
29歳にもなって、それってどうなんだろう。
でも、正直言って……
「……捻くれてるんじゃないのよ。
曲げてもないし、歪んでもいない」
「は?」
「だって本心なの。
普通の幸せっていうのが理解できないだけ」
「………」
「結婚はしたいけど、子供はいらない。
だから本当に、羨ましくないの」
目線を合わさず、同じ方向を見つめる葵と私。
42階のBARの窓からは、都内の夜景が一望できるけど
雨が降り続く今夜は、東京タワーの灯も滲んでぼやけている。
「……終わってんな」
煙草を灰皿に潰すと、葵はふっと笑った。
「決定。
蘭(らん)、お前は結婚できねぇよ」