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唇に媚薬
第5章 攻防ゲーム

さっき告白をされたのは夢ではないから、こうして葵の腕の中にいるわけだけど
あんなに震えていたのは夢だったんじゃないかと、疑ってしまうほど
私を抱えて寝室に入った彼は、いつもの葵だ。


「ね、ねぇ……」


ベッドの上に私を乗せて、スーツの上着を脱ぐ葵。
袖を抜こうとしたその手を、両手で止める。


「……なに?」


腕だけ中途半端に残った状態で、葵は私の隣りに腰を下ろした。
至近距離で見つめられて、心臓がバクバク音を立てる。


「ね、寝るんだよ…ね?」

「あぁ」

「じゃあ……何か服貸して」

「服?」

「だ、だってこのまま寝たらシワになっちゃうし……」

「………」

「パーカーとかでいいから……
~~~!」


って話してる間に、葵は片手で私のコートのボタンを外していて
ギョッとしている私の肩からするりと落とした。


「……お前、 “ 寝る ” って意味分かってる?」

「………!!」

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