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唇に媚薬
第6章 求め合う身体
なんてバカで痛い女だったんだろう。
人の幸せを蔑むだけで、自分だけ特別だと思い込んで
今まで満足する出逢いが無かったのは
私が誰かに愛されるに値する人間じゃなかったからだ。
……どうして、気付かなかったのかな。
そんな私に、愛想尽かすことなく
ずっと傍にいてくれる人がいたのに……
「アホだな、お前は」
ふっと優しく微笑んで、葵が私の手に右手を重ねる。
「許すもなにも、最初からそんな風に思ってない」
「………!」
「蘭は、そのままでいいんだよ」
目頭が熱くなって、言葉が出てこない。
柔らかく笑う葵が綺麗で、胸が張り裂けそうだ。
「お前は、お前らしく生きていけばいい。
……だから、その隣りにいさせて」
「………っ」
「蘭の存在が、俺の生きる意味になってる」
重いと思うけど、と付け加えて
葵は私を抱きしめた。
「……蘭、愛してるよ」