この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第7章 蓮愛相談室
……言いそう。
あの女なら、マジで言いそう。
実は俺はバーチャル彼氏で
突然出逢う運命の相手が現れるまでの繋ぎで
ってことは
蘭が俺を好きだと言ったのも、あの極上の体を抱いたのも
……全部、思い込み?
「まぁ、難しいよな」
フリーズする俺の前で、再び食事を始める蓮。
「部外者の俺が口にすること自体、失礼な話だけど。
健気にお前を慕う佐伯を見てると、放っておけなくて」
「………」
「鈍感なお前以外はほどんどの奴らが気付いてるからさ。
お節介ながら、傷付かないように……」
「蓮」
奴の話を遮って、俺は身を乗り出すと
持っている箸をひったくって、代わりにガシッとその右手を掴んだ。
「………」
突然俺に手を繋がれた蓮の顔が、白くなる。
「……なに」
「蓮、まずい」
「同感だ。
周りを見ろよ、ここは社食……」
「どうしよう」
自分の口から “ どうしよう ” なんて情けねぇ発言が飛び出るとは思わなかった。
だけど、心境はまさにどうしようだ。
同じように左腕を伸ばして、蓮の固まった手を両手で包む。
「偽物から本物になるには、どうすればいい?」