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唇に媚薬
第7章 蓮愛相談室

……言いそう。
あの女なら、マジで言いそう。

実は俺はバーチャル彼氏で
突然出逢う運命の相手が現れるまでの繋ぎで

ってことは
蘭が俺を好きだと言ったのも、あの極上の体を抱いたのも

……全部、思い込み?


「まぁ、難しいよな」


フリーズする俺の前で、再び食事を始める蓮。


「部外者の俺が口にすること自体、失礼な話だけど。
健気にお前を慕う佐伯を見てると、放っておけなくて」

「………」

「鈍感なお前以外はほどんどの奴らが気付いてるからさ。
お節介ながら、傷付かないように……」

「蓮」


奴の話を遮って、俺は身を乗り出すと
持っている箸をひったくって、代わりにガシッとその右手を掴んだ。


「………」


突然俺に手を繋がれた蓮の顔が、白くなる。


「……なに」

「蓮、まずい」

「同感だ。
周りを見ろよ、ここは社食……」

「どうしよう」


自分の口から “ どうしよう ” なんて情けねぇ発言が飛び出るとは思わなかった。
だけど、心境はまさにどうしようだ。
同じように左腕を伸ばして、蓮の固まった手を両手で包む。


「偽物から本物になるには、どうすればいい?」

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