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唇に媚薬
第7章 蓮愛相談室
「……あの?」
「………」
「ごめんなさい、分かり難かったですか?
この粗利を見ていただけたら……」
「佐伯」
「? はい…」
「……何か、俺に出来ることねぇ?」
椅子ごと俺に近付いて、リストを見せてきた佐伯に
俺は自分でもビビる程の優しい声で続けた。
「普段、お前には助けられてばかりだから」
「……えっ!?」
「最近残業させすぎてるし。
食欲か無いっつってたのも、そのせいじゃねぇの?」
「ち、違いますよ…っ」
ブンブンと首を横に振る佐伯を、じっと見る。
みるみる真っ赤になっていく顔を見て、胸がチクリと痛んだ。
“ 相手の気持ちは、相手にしか分からないんだよ ”
……それが恋愛感情ってのは、完全に蓮の勘違いだけど
思い返せば、佐伯の立場になって考えた事なんて一度も無い。
こんなに激務で、重い仕事をやらせてるっつーのに
口が悪いのが性格とはいえ、さらに追い詰めてどーするんだよ。
「……言えよ、佐伯。
今まで我慢させてたなら、謝るから」
「………っ」
「大事な右腕なんだ、無理させたくない」