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唇に媚薬
第8章 嫉妬姫
「……ちょっと、やめてよ」
自分で自分に突っ込んで
いたたまれなくてその場にしゃがみ込む。
……私、バカなの?
なんでこんな事で悲しくなったりするのよ。
彼女は同僚なのかもしれないし
てゆーかあれだけイイ男なんだから、女の1人や2人いたって不思議じゃないし
そもそも今夜は約束してないじゃない。
「………」
ツイード素材のロングコート。
お気に入りだけど、もっと明るい色にすれば良かったな。
てゆーか、今更だけど
葵はどんなタイプが好きなんだろう。
ふわふわしてて、優しくて、可憐で儚げで
……さっきの子みたいに可愛い子を好むなら
私、いくらでもシフトチェンジできるよ。
ツーショットを見ただけで
嫉妬が渦巻いて立てなくなるほどなんだから……
突っ伏してるから、周りにどう見られてるか分からない。
でも、膝を抱えたまま動けなくなってしまった。
だけど
暫くして
「……おい」
突然
頭の上から低い声が降ってきた。
「何してんだよストーカー」
「………!!」
「来るなら来るって言えよボケ」