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翻弄の果てに
第15章 女。未来(みく)
『力さん!』

『やあ、未来、来たね。御両親は大丈夫だった?』

『…はい。大丈夫です!行ってらっしゃい、無駄遣いしないのよ。って送ってくれました。』

『ん?無駄遣い?ま、いいか、行こう。』

『はい。』




恋は魔物だ。今の未来にとっては。
未来の初恋だった。
三年前、未来達の保護者としてハイキングに同行した、暁(あきら)の兄、力(ちから)に恋をした。

胸がドキドキして、力を想うだけで全ての時間が止まるくらい、気持ちが高揚するのだった。

あれから二年、力と会えることは無かった。なぜなら、ハイキングの同行というだけで実家に来ただけで、力は既に家を出ていたから。

24歳になった力は、商社マンとして働いており、この時期、早い夏休暇を取った。未来の夏休みに合わせたのだ。

会うことの無かった力との再会は、同級生で、力の弟、暁によって、偶然訪れた。

それから密かに、未来は力とコンタクトを取り合い、自分の初恋が愛へと変わっていくのを確信し、告白し、今日を迎えたのである。




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