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翻弄の果てに
第19章 荒波
腰の下にある未来の左手を引き抜く。

『ここまでやってごらん?』

未来は左手で、力がしたように真似た。

『未来、俺を感じながらだよ。この左手は俺だよ。さあ、ゆっくり、ゆっくり…』

自分でする、という意表をついた力の行動に、少しばかり動揺しながらも、未来は素直だった。

自慰すらしない未来にとって、どれほど恥ずかしく辛いことだったか。
それでも力を感じたいと、羞恥心を超えた未来の思いだったのかも知れない。

『未来の手に俺が入り込んでいるんだよ。気持ちいいかい?焦れったいかい?温もりは感じる?』

耳元で囁く力。頃合いを見計らいながら更に続ける。

『愛しているよ、未来…俺だけの未来…なんて気持ちのいい肌触りなんだ。』

優しく響く力の声を未来は耳元で聞きながら徐々に官能の坩堝(るつぼ)にのめり込んでいった。



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