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翻弄の果てに
第19章 荒波
この事実は、今のところ悠太の胸の内にあり、祥子すら知らされてはいない。

あまりにも残酷な現実に、悠太は言葉を失った。

いっそ、亡くなったことにしようかとも一時は考えたが、御近所であること、同級生に暁が居ることなど、接点が有りすぎる。

現実を受け止めるには、相当の時間が必要なことは明らかだ。

写真の環に向かい、娘を思う悠太の握りこぶしは震えていた。



病院から祥子が帰って来た。

『未来、やっと食事が出来たのよ。ほんの少しだけど。』

『そうか、それはよかった…』

『力さん、未来にとっては何よりのお薬なのね。』

祥子の声も、抑え気味ながらも弾んでいる。


『祥子、話がある。とても大事な話だ…』



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