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翻弄の果てに
第20章 甦り
『ち…から…さん?』

『はい。すみません、こんな格好で。失礼ですが……』

『未来です。力さんとお付き合いしています。思い出せませんか?』

『……すみません…』

『大丈夫です。じきに思い出します(笑)』



努めて平静を装った。
布団のいびつな凹みが、力の脚がないことを表していた。

心臓が口から飛び出るのではないかと、息を深く吸い込んだら吐く息は奇声になってしまうのではないか……

本当は、立って居られないほど怖かった。


『また、お見舞いに伺ってもいいですか?』

『え?えぇ…』

『じゃ、また来ますね。今日の未来は覚えていてくださいね(笑)』


屈託なく笑う、その顔は、ずいぶん昔に見たような気はするが……
思い出せない力だった。




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