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翻弄の果てに
第21章 混じり合う喜びと悲しみ
『大きくなったなあ…本当に俺の子供が産まれるなんて、何だかまだ信じられないよ。』

『正真正銘、力さんと私の子供よ。産まれたらびっくりするわよ、力さんそっくりで(笑)』


『未来…ごめんな。思い出せなくて……』

『平気よ、大丈夫!』

『愛してるよ、未来。』

優しいキス…

いつしか、二人は再び愛し合うようになっていた。
今の力にとって未来は、以前の記憶が無いために新しい恋愛なのだが、自然と二人は繋がっていったのだった。

平気よ、大丈夫!と未来が放った言葉はまるで、過去はもういらない、これから始まるのよ、と言っているようだった。


『年が明けたら、未来はママなんだね。』

『力さんはパパよ!』


『………』



二人は未だ未入籍なのだ。双方の親達は入籍を勧め、未来もそれを心の中では望んでいたが、頑なに力は拒んでいた。

記憶がどうのというのではない。職場復帰して、働ける身体にしてから妻を迎えたいという強いこだわりからだった。


似た者同士の二人。
親達は、二人の意思を尊重する形となった。

この二家族に、世間の常識とされているものは通用しないようであった。



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