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翻弄の果てに
第21章 混じり合う喜びと悲しみ
季節は初冬を迎えていた。
寒さも日毎に増し、一年の終わりが近いことを知らせる木枯らしが音をたてる頃のことだった。
いつものように、祥子は両親のもとへと向かった。
あれ?廊下が寒いな?えっ?それに静か……
『お母さん?』
返事がなく、やはり静かだ。
『えっ!嫌…お母さんっ!!』
二人の寝室を開けた。
…………
…………
…………
程なくして、掛かり付けのお医者さまが駆け付ける。
それから少しして、悠太が息を切らして帰ってきた。
老衰だった。
口数の少ない父と、芯が強く慈愛に充ちた母。
二人して仲良く旅立っていった……
悠太と祥子は、不思議と涙が出ることはなかった。90余年の幕を閉じた二人に「お疲れ様でした」と、心で手を合わせた。
未来が泣きじゃくっていた。
しめやかに葬儀が執り行われ、北風と共に二人は煙りとなって召されていった。
『親父、お袋、心配かけたな…悪かったな…ごめんよ…』
『お父さん、お母さん、本当にありがとうございました……』
寒さも日毎に増し、一年の終わりが近いことを知らせる木枯らしが音をたてる頃のことだった。
いつものように、祥子は両親のもとへと向かった。
あれ?廊下が寒いな?えっ?それに静か……
『お母さん?』
返事がなく、やはり静かだ。
『えっ!嫌…お母さんっ!!』
二人の寝室を開けた。
…………
…………
…………
程なくして、掛かり付けのお医者さまが駆け付ける。
それから少しして、悠太が息を切らして帰ってきた。
老衰だった。
口数の少ない父と、芯が強く慈愛に充ちた母。
二人して仲良く旅立っていった……
悠太と祥子は、不思議と涙が出ることはなかった。90余年の幕を閉じた二人に「お疲れ様でした」と、心で手を合わせた。
未来が泣きじゃくっていた。
しめやかに葬儀が執り行われ、北風と共に二人は煙りとなって召されていった。
『親父、お袋、心配かけたな…悪かったな…ごめんよ…』
『お父さん、お母さん、本当にありがとうございました……』