この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
翻弄の果てに
第22章 翻弄の果てに
環と暮らした愛の巣は朽ち果て、もう、中になど入れる状態には無かったが、脳裏に焼き付いた光景は、肉じゃがの匂いと柔らかい環の髪の感触。
やんちゃな俺と穏やかな笑みを浮かべた環の姿。
俺の中にはっきりと蘇っていた。
『悠太さん、ひまわり。』
昔、花を育てたスペースに若いひまわりが成長途中にあった。
『これ、悠太さん達が植えた種?』
『きっと。』
『命は絶たれずに、しっかりと二人の証を咲かせ続けていたのね……』
祥子は泣いていた。
『環さん、お久しぶりです。貴女の願った通りになっていますか?
環さん、私はとても幸せです。悠太さんは幸せを感じてくださっているかしらね。
環さん、私は不思議と環さんに嫉妬をしないでこられました。きっとここで、ずーっと私を支えてくださっていたのね。ありがとう、環さん。』
『環。もうここに来ることはないだろう。俺はこの場所から卒業だ…長かったよ…ここに来ることが怖かった。ここに来たら、環と俺の数年間が失くなってしまうようでな。でも…』
『でも、来てよかった。でしょ?』
『ああ。来てよかった。環、これから先は祥子だけの幸せを育てていく。だから、けじめがつけられた今、環とはさよならだ。
おふくろ…、おふくろさん…俺達二人の幸せをこれからも見届けてくれ。な?』
そこに、今咲こうとしているひまわりに、俺達は思い思いに語りかけ続けた。
やんちゃな俺と穏やかな笑みを浮かべた環の姿。
俺の中にはっきりと蘇っていた。
『悠太さん、ひまわり。』
昔、花を育てたスペースに若いひまわりが成長途中にあった。
『これ、悠太さん達が植えた種?』
『きっと。』
『命は絶たれずに、しっかりと二人の証を咲かせ続けていたのね……』
祥子は泣いていた。
『環さん、お久しぶりです。貴女の願った通りになっていますか?
環さん、私はとても幸せです。悠太さんは幸せを感じてくださっているかしらね。
環さん、私は不思議と環さんに嫉妬をしないでこられました。きっとここで、ずーっと私を支えてくださっていたのね。ありがとう、環さん。』
『環。もうここに来ることはないだろう。俺はこの場所から卒業だ…長かったよ…ここに来ることが怖かった。ここに来たら、環と俺の数年間が失くなってしまうようでな。でも…』
『でも、来てよかった。でしょ?』
『ああ。来てよかった。環、これから先は祥子だけの幸せを育てていく。だから、けじめがつけられた今、環とはさよならだ。
おふくろ…、おふくろさん…俺達二人の幸せをこれからも見届けてくれ。な?』
そこに、今咲こうとしているひまわりに、俺達は思い思いに語りかけ続けた。