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short story
第2章 seventeen/minami
パッと時計を見ると5時を過ぎたところだった。
今先輩に付き合ったら「門限」の6時を過ぎてしまう。



「ごめんなさい・・・」


「・・・・・・・・・」


先輩の顔が沈む。
そんなに行きたかったんだ・・・雑貨屋。


その時ケータイが鳴った。
ディスプレイを見ると相手はお兄ちゃん。
・・・出ないわけにはいかない。



「ご、ごめんなさい!ちょっと出ていいですか?」


「あ・・・うん、どうぞ」


「も、もしもし!」


慌てて通話ボタンを押して隠れるよう小声で出た。



『みなみか』


「うん」


『今どこだ!?』


「今・・・帰る途中だよ」


『どうしてそんなに小声なんだ!?誰と居るんだ!?』


「友達だよ!?」


怪しまれ開き直り大声になる私。
そして更に声の大きいお兄ちゃんとの会話はきっと先輩に筒抜けだ。
それが恥ずかしくて先輩に背を向ける。


『男か!』


「女の子・・・女の子だよ!!・・・つーかどうしたの?まだ時間じゃないよ?」


「何故だか嫌な予感がしてな」


「・・・・・・・・・」


我が兄ながら恐ろしい・・・
けれども気を取直してその場を取り繕った。



「心配しないで、大丈夫だから・・・うん、ホントだって・・・平気。・・・うん、うん、分かった。また後でね」


電話を切って振り返ると先輩は微妙な顔で・・・



「すみません」


「ううん、今の電話の相手ってさ・・・」


「えっ・・・」


「あ、いや・・・何でもない」


「・・・・・・・・・」


なんだか『雑貨屋さんはまた日を改めて』なんて言える雰囲気じゃなくて、ぎこちないまま先輩と別れた。



それから話す機会はなく先輩は卒業して・・・私の「恋らしきもの」は気づいたら幕を閉じていた。



でもそれは私の高校時代唯一の「恋」の思い出として、今でも時々思い出す。


私はといえば・・・卒業して念願のデザイン系の専門学校に入り大好きな雑貨屋でバイトを始めた。
そこて出逢ったとある人と初めての恋愛をすることになる。


―――その相手は社会人でスーツ姿が爽やかで、かっこよくて優しくて、私だけを愛してくれるとても素敵な「誰かさん」なのだけど・・・



その話は長くなるのでまた別の機会にでもできたらいいなと思います。
















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