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short story
第3章 これが私の生きる道/tamami
喧嘩なんて大嫌いだけど、喧嘩を売られたらあたしの由緒正しいヤンキーの血がどうしても反応してしまう。
買わないわけにはいかないって勝手に体が反応しちゃうのよ。


本当は喧嘩なんてしたくない。
みんなで仲良くした方がずっと楽しいと思うのに・・・



「・・・・・・ココ、目が飛んでる」



「えっ・・・あっ!」



ヤダ!いつの間にか目の数が足りないと思ってたの!!
ここだったのね・・・


いそいそと解くあたしを見て、彼女は更にアドバイスをしてくれた。


「目の大きさが揃ってないから変な形になるんだよ」


「どんどん台形になっていっちゃって困ってたの」


「・・・・・・・・・」


ハッとした。
今あたし素で喋っちゃった!!
おケイの弟がこんなだなんて知られたら・・・


青くなるあたしのぎこちない手を彼女は黙って見ていた。



「貸してみな」


「!」


そしてあたしから編み物を奪い取ると器用に続きを編み出した。


「上手い・・・」


「アンタ不器用だね。でも慣れればコツも掴めると思う・・・」


「コツ?」


「編み目に歪みを出さないよう棒針に目を沿わすの。こうやって緩みがないようにね」


「・・・・・・・・・」


彼女の手は同じ人間の手じゃないみたいにしなやかに動く。


「凄い・・・凄いわ!アンタ天才ね!!」


「そんなことないよ・・・アンタだってすぐできるよ」



それからあたしと彼女・・・光子はよく一緒に編み物をした。
光子も筋金入りのヤンキーで、アザミのミーコとこの辺では有名だった。


光子・・・通称ミーコは本当に器用な子であたしに色々な編み方を教えてくれた。


ヤンキー二人が第二理科室に篭ってる話はすぐ校内を駆け回り、あたしとミーコが付き合ってて理科室でシンナーやいかがわしい事をしていると噂された。


「言いたい奴には勝手に言わせてればいいよ」


ミーコはそんな噂を相手にしなかった。
そしてあたしの素を知ってもミーコの態度は変わらなかった。


あたしはミーコと居るのが心地良かった。


いつしかあたしたちは「付き合う」という間柄になっていた。










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