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short story
第17章 犬と弟 / ayumi
「い、ぬ。す、い、か。い、す。」
・・・幼い頃、私は神童と呼ばれていた。
「か、め」
「あゆちゃん・・・まだ二歳なのに・・・!」
「め、だ、か」
物心ついた時には平仮名を習得し、幼稚園に入る前には・・・
「戸じまりようじん、火のようじん」
「凄いわあゆちゃ~ん!!」
簡単な漢字は読めていた。
そんな頭の良さに加えクレオパトラの生まれ変わりと八百屋のおじさんに言われたほどの美貌。
幼稚園に行けば誰もがあゆ美ちゃんと遊びたいというほど人望も厚かった。
誰もが私を褒め、誰もが将来を期待した。
母方にとっては初孫、父方にとっては初めての女の子。
才色兼備・・・そんな言葉を地で行く私は蝶よ花よと育てられていた。
そんな自分が好きだったし自信もあった。
皆の間で流行るものは殆ど私が発信源。
私が持つものは皆が欲しがるというカリスマ性。
でも一つだけ他の子にあって私にはないものがあった。
「お姉ちゃん」という肩書きだ。
弟妹の面倒を見る友だちはなんだか大人に見えた。
凄く羨ましかった。
だから当然私もお母さんにお願いした。
うちにも赤ちゃんが欲しい!・・・って。
でもお母さんはなかなか二人目が出来なかったようで・・・
それでいながら私にも弟妹をせっつかれ随分悩んだらしい。
それからしばらくしたある日、お母さんが言った。
「あゆちゃん、もしかしたらうちには赤ちゃん来ないかもしれないの・・・ごめんね、だからその代わりに犬を飼おうか」
本を読んでいた私はポカンと口を開ける。
お母さんは続けた。
犬を飼ったらあゆちゃんの弟妹として可愛がろうって・・・
犬・・・
その瞬間、私の目は輝いた。
犬・・・人間より愛らしく利口な犬・・・
人間の赤ちゃんより子犬の方が断然可愛い、ウザくない。
まぁ、犬は「お姉ちゃん」とは喋らないけど赤ん坊だって喋らないのは同じだ。
それに犬なら私の家庭内地位も落ちないだろう・・・
総じて大人は赤ん坊に夢中なものだ。
そうなると必然的に私は赤ん坊より地位が下がる。
私はそこまで考えられる子供だった。
何度考えても赤ん坊より犬の方がメリットが大きかった。
「うん!私・・・犬でいい!」
その日から私の頭は弟妹じゃなくて犬のことでいっぱいになった。
・・・幼い頃、私は神童と呼ばれていた。
「か、め」
「あゆちゃん・・・まだ二歳なのに・・・!」
「め、だ、か」
物心ついた時には平仮名を習得し、幼稚園に入る前には・・・
「戸じまりようじん、火のようじん」
「凄いわあゆちゃ~ん!!」
簡単な漢字は読めていた。
そんな頭の良さに加えクレオパトラの生まれ変わりと八百屋のおじさんに言われたほどの美貌。
幼稚園に行けば誰もがあゆ美ちゃんと遊びたいというほど人望も厚かった。
誰もが私を褒め、誰もが将来を期待した。
母方にとっては初孫、父方にとっては初めての女の子。
才色兼備・・・そんな言葉を地で行く私は蝶よ花よと育てられていた。
そんな自分が好きだったし自信もあった。
皆の間で流行るものは殆ど私が発信源。
私が持つものは皆が欲しがるというカリスマ性。
でも一つだけ他の子にあって私にはないものがあった。
「お姉ちゃん」という肩書きだ。
弟妹の面倒を見る友だちはなんだか大人に見えた。
凄く羨ましかった。
だから当然私もお母さんにお願いした。
うちにも赤ちゃんが欲しい!・・・って。
でもお母さんはなかなか二人目が出来なかったようで・・・
それでいながら私にも弟妹をせっつかれ随分悩んだらしい。
それからしばらくしたある日、お母さんが言った。
「あゆちゃん、もしかしたらうちには赤ちゃん来ないかもしれないの・・・ごめんね、だからその代わりに犬を飼おうか」
本を読んでいた私はポカンと口を開ける。
お母さんは続けた。
犬を飼ったらあゆちゃんの弟妹として可愛がろうって・・・
犬・・・
その瞬間、私の目は輝いた。
犬・・・人間より愛らしく利口な犬・・・
人間の赤ちゃんより子犬の方が断然可愛い、ウザくない。
まぁ、犬は「お姉ちゃん」とは喋らないけど赤ん坊だって喋らないのは同じだ。
それに犬なら私の家庭内地位も落ちないだろう・・・
総じて大人は赤ん坊に夢中なものだ。
そうなると必然的に私は赤ん坊より地位が下がる。
私はそこまで考えられる子供だった。
何度考えても赤ん坊より犬の方がメリットが大きかった。
「うん!私・・・犬でいい!」
その日から私の頭は弟妹じゃなくて犬のことでいっぱいになった。