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short story
第17章 犬と弟 / ayumi
母に犬の図鑑を買ってもらい、どの犬がいいか毎日考えた。
犬・・・
犬と過ごす毎日を思い描いてはワクワクした。
お父さんの仕事が落ち着いたらペットショップに行こうとまで言っていた。
だから私は指折りその日を楽しみにしていたのだが・・・
「あゆちゃん!あゆちゃんね、来年お姉ちゃんになるのよ!!」
その日は突然やって来た。
お父さんの仕事が落ち着いたある日、涙目のお母さんがそう私に言ったのだ・・・
「・・・・・・・・・」
犬は?
最初に思い浮かんだのはそれだった。
元々弟妹の代わりの犬だ。
本物が産まれるなら代替は必要ないと見なされてもおかしくない。
クレオパトラの生まれ代わりと言われた眉間に皺が寄る。
でもお母さんが嬉しそうで、お父さんまで優しい顔で「犬は?」なんて聞けなかった。
少しだけ我慢してみようと思った。
・・・が、あれよあれよとお母さんは体調が悪そうになった。
毎日トイレで吐いていた。
そんなお母さんが可哀想で可哀想で仕方ない。
だから毎日いい子に過ごした。
でもお母さんの体調はいつまで経っても良くならない。
その時、気持ちが悪くなるのは赤ちゃんのせいだと知った。
悪阻が落ち着く頃にはすっかり犬の話などなくなっていた。
悪阻が終わると今度はお腹が膨れてきた。
するとまたお父さんの仕事が忙しくなってしまった。
「あゆちゃん、ホラ赤ちゃんが動くわよ」
・・・犬は?
「あゆちゃん!赤ちゃんね、男の子なんですって」
・・・犬は?
お母さんはとても嬉しそうだ。
生まれたら赤ちゃんに着せる服を洗濯して幸せそうにそれを見つめるお母さん。
もう赤ん坊に夢中だ。
私の恐れていた事態が早くも起きてしまったじゃないか・・・
「ちっちゃい服ね~」
「・・・ふん、犬の服と変わらないじゃない」
ペットショップに売ってる犬の服だってそんなもんだ。
その頃、弟が生まれた友だちに聞いた。
赤ちゃんを産む時はお母さんは何日も入院して、退院してからも弟に付きっきりになるからお姉ちゃんになったらお父さんと寝るのだと。
・・・誤算だった。
お父さんと寝るくらいなら私は一人で寝よう。
寂しくて泣いてもそんなの知らない。
赤ん坊にかまける大人たちが悪いんだ。
犬・・・
犬と過ごす毎日を思い描いてはワクワクした。
お父さんの仕事が落ち着いたらペットショップに行こうとまで言っていた。
だから私は指折りその日を楽しみにしていたのだが・・・
「あゆちゃん!あゆちゃんね、来年お姉ちゃんになるのよ!!」
その日は突然やって来た。
お父さんの仕事が落ち着いたある日、涙目のお母さんがそう私に言ったのだ・・・
「・・・・・・・・・」
犬は?
最初に思い浮かんだのはそれだった。
元々弟妹の代わりの犬だ。
本物が産まれるなら代替は必要ないと見なされてもおかしくない。
クレオパトラの生まれ代わりと言われた眉間に皺が寄る。
でもお母さんが嬉しそうで、お父さんまで優しい顔で「犬は?」なんて聞けなかった。
少しだけ我慢してみようと思った。
・・・が、あれよあれよとお母さんは体調が悪そうになった。
毎日トイレで吐いていた。
そんなお母さんが可哀想で可哀想で仕方ない。
だから毎日いい子に過ごした。
でもお母さんの体調はいつまで経っても良くならない。
その時、気持ちが悪くなるのは赤ちゃんのせいだと知った。
悪阻が落ち着く頃にはすっかり犬の話などなくなっていた。
悪阻が終わると今度はお腹が膨れてきた。
するとまたお父さんの仕事が忙しくなってしまった。
「あゆちゃん、ホラ赤ちゃんが動くわよ」
・・・犬は?
「あゆちゃん!赤ちゃんね、男の子なんですって」
・・・犬は?
お母さんはとても嬉しそうだ。
生まれたら赤ちゃんに着せる服を洗濯して幸せそうにそれを見つめるお母さん。
もう赤ん坊に夢中だ。
私の恐れていた事態が早くも起きてしまったじゃないか・・・
「ちっちゃい服ね~」
「・・・ふん、犬の服と変わらないじゃない」
ペットショップに売ってる犬の服だってそんなもんだ。
その頃、弟が生まれた友だちに聞いた。
赤ちゃんを産む時はお母さんは何日も入院して、退院してからも弟に付きっきりになるからお姉ちゃんになったらお父さんと寝るのだと。
・・・誤算だった。
お父さんと寝るくらいなら私は一人で寝よう。
寂しくて泣いてもそんなの知らない。
赤ん坊にかまける大人たちが悪いんだ。