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short story
第17章 犬と弟 / ayumi
だから遥斗には沢山の意地悪をした。
小さい頃の遥斗はその度に泣いて・・・その時だけはそれはそれは可愛いかった。
大きくなるにつれて遥斗はだんだんと生意気になり、毎日取っ組み合いの喧嘩をしていた。
その度にお母さんは「喧嘩両成敗だ」と私と遥斗、両方に謝らせた。
私の背を抜かした頃から遥斗は更に生意気になって姉を姉と見なくなった。
それがとにかく気に入らなくて長らくギスギスした姉弟関係だったけど・・・
「あっ!パパ!!」
昔を思い出していたら遥斗がいちかを迎えに来た。
いちかがピョンピョン跳ねて喜ぶ。
「ねえ、パパ!いちかね、ばあばとパン焼いたの!」
「へぇ・・・美味くできたか?」
「美味しいよ!パパはね、ハートのパンにしたからね」
「マジで?」
「うん、いちかパパのこと大好きだから!」
そんなこと言われてデレデレな遥斗がいちかを抱き上げる。
いちかも嬉しそうで、二人はまるで恋人みたいだ。
こんな二人を一ノ瀬さんが見たら妬くんじゃないだろうか。
そんな風に娘にメロメロな弟がちょっとだけ・・・
「・・・何?」
「いや、可愛くないなと思って」
「訳わかんねー」
「・・・・・・・・・」
私を相手にもしない遥斗は相変わらず・・・
可愛いくない。
弟なんて本当に可愛いくない!
もしあの時、弟妹じゃなくて犬が欲しいと言っていたら・・・お母さんの愛情からお金から全部私にだけつぎ込まれていたことだろう。
そしたらとりあえず目の前の二人は居なかったけど。
「感謝しなさいよ」
「誰に」
「私にに決まってるじゃない!」
そう、遥斗は実際感謝してもし切れないくらいだと思う。
お姉様様と崇められてもいいくらいだ。
―――ちなみに世の中にはこんな言葉がある。
十で神童、十五で才子、二十歳過ぎればただの人・・・
神童だった私は十五で才子にはなり切れず、二十歳過ぎたら完全にただの人になった。
でも私はこんな自分に満足している。
結局犬は飼えなかったけど、今の状況にもいちかが生まれて賑やかになった我が家にも。
「いちか、今度ねえねが犬のぬいぐるみ買ってあげるわね」
「何で犬・・・」
「秘密」
・・・何か悔しいから。
だから遥斗に今日も小さな意地悪をするのだった。
小さい頃の遥斗はその度に泣いて・・・その時だけはそれはそれは可愛いかった。
大きくなるにつれて遥斗はだんだんと生意気になり、毎日取っ組み合いの喧嘩をしていた。
その度にお母さんは「喧嘩両成敗だ」と私と遥斗、両方に謝らせた。
私の背を抜かした頃から遥斗は更に生意気になって姉を姉と見なくなった。
それがとにかく気に入らなくて長らくギスギスした姉弟関係だったけど・・・
「あっ!パパ!!」
昔を思い出していたら遥斗がいちかを迎えに来た。
いちかがピョンピョン跳ねて喜ぶ。
「ねえ、パパ!いちかね、ばあばとパン焼いたの!」
「へぇ・・・美味くできたか?」
「美味しいよ!パパはね、ハートのパンにしたからね」
「マジで?」
「うん、いちかパパのこと大好きだから!」
そんなこと言われてデレデレな遥斗がいちかを抱き上げる。
いちかも嬉しそうで、二人はまるで恋人みたいだ。
こんな二人を一ノ瀬さんが見たら妬くんじゃないだろうか。
そんな風に娘にメロメロな弟がちょっとだけ・・・
「・・・何?」
「いや、可愛くないなと思って」
「訳わかんねー」
「・・・・・・・・・」
私を相手にもしない遥斗は相変わらず・・・
可愛いくない。
弟なんて本当に可愛いくない!
もしあの時、弟妹じゃなくて犬が欲しいと言っていたら・・・お母さんの愛情からお金から全部私にだけつぎ込まれていたことだろう。
そしたらとりあえず目の前の二人は居なかったけど。
「感謝しなさいよ」
「誰に」
「私にに決まってるじゃない!」
そう、遥斗は実際感謝してもし切れないくらいだと思う。
お姉様様と崇められてもいいくらいだ。
―――ちなみに世の中にはこんな言葉がある。
十で神童、十五で才子、二十歳過ぎればただの人・・・
神童だった私は十五で才子にはなり切れず、二十歳過ぎたら完全にただの人になった。
でも私はこんな自分に満足している。
結局犬は飼えなかったけど、今の状況にもいちかが生まれて賑やかになった我が家にも。
「いちか、今度ねえねが犬のぬいぐるみ買ってあげるわね」
「何で犬・・・」
「秘密」
・・・何か悔しいから。
だから遥斗に今日も小さな意地悪をするのだった。