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short story
第6章 ノスタルジックオレンジ/ haruto
手を伸ばしてみなみに触れた。


「どうしたの?」


「・・・みなみ」


「ん?」


「好きだよ」



みなみが好きだ。
一緒に居てこんなにも安らげるのはみなみだけだと思う。
そんなみなみが心の底から大切だ、失いたくない・・・


みなみは日和とは違うのに俺だけを見てくれているのか不安になった。
怖かった。



「みなみも・・・みなみも遥斗が大好きだよ」


俺の手を包んでみなみが微笑む。
あの頃の俺が欲しかった言葉は今、本当に愛しい人が返してくれた。
真っ直ぐで綺麗なみなみの愛は俺の胸に染み渡り、幸せで一杯にしてくれる。


あの頃の傷が癒えていくのが分った。



「知ってる、みなみが俺を好きな事」


「みなみだって遥斗がみなみを好きな事ちゃんと知ってるよ」


みなみがクスクス笑う。
その無邪気さが可愛くてみなみの髪を撫でると嬉しそうなみなみがいた。


それから当たり前の流れでキスをして、ベッドにみなみを引き上げるとまた沢山のキスをする。


みなみとの穏やかな時間はもはや「当たり前」の日常で、そんな今を大切だと思う。
この幸せを壊したくないしみなみを手放したくもない。


だから俺はみなみに何度でも伝えるんだと思う。
「好きだ」って・・・


夕日のオレンジが切なさから幸せなものへと少しずつ色を変えていく。
それはみなみが塗り替えてくれる俺の心の色・・・



暖かなオレンジに包まれながらみなみを抱きしめた。
みなみに染まる自分を幸せに思った。









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