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short story
第7章 青春グラフティ /minami
「まぁ・・・ただこの“子どもたちを結婚させる”ってのだけは叶えてやれないけど」


「・・・・・・・・・」


「だって今の時点でたっくんは保育園行ってるしいちかもたっくんと同じとこって訳にはな」


「そうだけど・・・でも将来のことは分かんないじゃん。きーちゃんたちだって幼馴染婚だし」


「いーや、俺には分かる。いちかはお嫁になんか行かないんだよなー」


遥斗はいちかを抱き上げて頬ずりしている。
そんな遥斗はやっぱり親馬鹿だ。



・・・その時、テーブルに置いたスマホがLINEの着信を知らせた。
アプリを開くとメッセージの相手はきーちゃんで・・・



『みなみの手紙意味不明なんだけど!』



「・・・・・・・・・・・・」



『結局梅昆布の事しか書いてなかったよ』


『梅昆布なんて私三回くらいしかテレビで見た事なかったし』


『あの人は今・・・だよね(笑)』


それを横から遥斗が見てププッと笑う。


「みなみらしくていいんじゃね?」


「・・・・・・・・・」



私の十年って一体・・・



「ねぇ遥斗、今度またきーちゃんたちとタイムカプセル作ろうよ」


「俺も?」


「そう、今度は我が家で保管してさ。遥斗もいちかも駿くんもたっくんも・・・みんなで・・・ね?」



これからの十年は今までの十年より早いんじゃないだろうか。
今なら未来ももっと身近でちゃんとした事がかける気がする。


そして今の私たちの気持ちと子どもたちの可愛らしさを缶に詰めて、また十年後に皆で開けよう。
その時には自分たちより子どもたちの成長にしみじみするんじゃないだろうか・・・



「別にいいけど・・・」


「じゃあ決まりね!早速きーちゃんに・・・」



返信。



あの頃の言い訳と共に新しいタイムカプセルを提案する私だった。






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