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short story
第7章 青春グラフティ /minami
「十年前・・・俺は高三か」


帰りの車で遥斗が呟く。


「のっぴきならない事情から義兄さんとは面識あったけどみなみのことは知らなかったからな」


「出会う前だもんね。遥斗がチャラかった全盛期?」


「いや、義兄さんに成敗されて大人しくしてた頃」


縁って不思議。
多分中学生の私と高校生の遥斗が出会っても恋にはならなかったと思う。


「でもこの十年の半分は俺とみなみは一緒に居た」


「そうだね」


「これからはもっとずっと・・・聖川真斗じゃなくて悪かったけど」


「だからそれは中学生の夢だって・・・」


遥斗は随分根に持っているのだろうか。
でもそう言いながらも横顔は満更じゃなさそうだ。


「この五年で出会って結婚していちかが生まれて・・・色々あったよな」


「これからの十年はまた色々あるんだろうね」


「だな」


バックミラー越しに後部座席を見るとチャイルドシートのいちかはスヤスヤ寝ている。
あの頃の私が思い描いた未来が今かと言えばそうじゃないかもしれないけど、でも「幸せになって欲しい」という願いは叶ってる。





その夜、遥斗といちかがお風呂に入っている間にきーちゃんからの手紙を開いた。


『みなみへ』で始まる手紙は綺麗な文字が規則正しく並んでいた。





みなみへ



みなみとは幼稚園から一緒だったね。
何をするにもみなみとペアで、でもみなみが大好きだった私はそれが嬉しかったよ。


今日した約束・・・一緒に結婚して一緒に子ども産んで同じ幼稚園に入れて大きくなったら子どもたちを結婚させるってヤツ、叶うといいよね。


みなみ、大人になっても親友で居ようね。
私は天然で優しくて涙もろいみなみが大好きだよ!!!!



清花






「・・・きーちゃん」



手紙を見たら涙が出てきた。
その時丁度遥斗たちがお風呂から出てきて泣いてる私にびっくりする。


そしてきーちゃんからの手紙を見て・・・


「みなみはいい友達持ったな」


「うん・・・」



そう言って私の頭を撫でてくれた。










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