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short story
第8章 君に恋してる / minami
「みなみ・・・そろそろ帰る時間」


週末、遥斗の部屋で愛し合った私たち。
遥斗の腕の中で幸せに微睡んでいると遥斗が現実に私を引き戻す。


「・・・帰んない」


「えっ?」


「帰りたくない・・・ずっと遥斗と居る・・・」


遥斗に抱きつくと困ったように遥斗が頭を撫でる。


「そりゃ・・・俺だって帰したくないけど・・・お父さんたちと約束してるんだろ?」


「してるけど・・・」


「・・・なら帰んなきゃダメだ」


最後に遥斗がギュッと抱きしめて、ポンポンと背中を叩いて服を着るよう私を促す。


こんな風に遥斗はいつもどこか冷静で・・・
多分私の方が遥斗よりずっと好きなんだと思う。


私は親との約束なんかより遥斗が大事、だから約束なんて破ってもいいと思ってる。
でも遥斗はそれをさせない。


いつも12時に間に合うように服を着させて遥斗の家を出る。
それがもどかしくて寂しいと思ってしまう。


「遥斗・・・」


「ん?」


「大好き・・・みなみ本当に遥斗が好き!」


腕に抱きついて遥斗を見上げた。
するとやっぱり遥斗は私を見て少し困ったように眉を下げる。


「・・・俺もみなみか好きだよ」


「・・・・・・・・・」


穏やかな遥斗の声に・・・やっぱり私の方が好きなんだと思う。
溢れ出すほどの想いはもしかしたら遥斗には重いのかもしれない。


「・・・みなみ?」


今度は急に黙り込む私を遥斗が呼んだ。


「どうした?」


「・・・ううん、何でもない」


誰かと付き合う事はおろか、こんなに人を好きになったことさえない私には加減が分からない。

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