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short story
第9章 天の川 /yuriko
次の日書いた子どもたちの短冊は様々で、そのどれもが可愛らしくて見ているだけで笑が零れた。
「佐和子ちゃんウサギさんになりたいなんて可愛いな・・・和也くんはスペシャルマン・・・ふふっ」
子どもたちの願いには夢があった。
そんな中で・・・
「おかあさんとおとうとがはやくたいいんしますように・・・か・・・」
克己くん。
子どもたちの夢は全員叶って欲しい。
でも克己くんの願いは切実で、私の胸を締めつける。
克己くんの願いは一番最後でめくると私の下心みたいな願いが現れた。
・・・神様、神様がもし居るのなら私の願いなんて叶わなくて構いません。
でも克己くんの願いは叶えてあげてください・・・
それからまた数日が過ぎた頃、満面の笑の克己くんが私の元にやって来た。
「先生!お母さん家に帰って来るんだよ!」
「そうなの!?おめでとう!」
克己くんは嬉しそうに頷いた。
「赤ちゃんはまだもう少し入院するけど大きくなってきたって」
「そうなんだ・・・良かったね」
私の言葉を聞いて克己くんは帽子を被り園庭に飛び出して行った。
神様、ありがとうございます・・・
曇が取れたような笑顔を嬉しく思った。
それからまた数日が過ぎ、七夕の日を迎えた。
その日園では七夕集会が行われ、昨日みんなで飾り付けた大きな笹をお遊戯室に飾り付け、楽しい一時を過ごした。
梅雨の七夕は毎年天気がパッとしない。
今年は雨だった。
子どもたちを送り出し、掃除や仕事をして定時を迎えると傘をさして家に帰る。
天気同様私の心も晴れなかった。
会いたい・・・
会いたさは日々募り、山下さんの名刺を眺めてはため息をついていた。
この気持ちもいつかは薄れ消えていくのだろうか・・・
たった五日しか会わなかった人に私は恋をしてしまった。
山下さんの低く柔らかい声が耳に焼きついて離れてくれない。
―――――電話が鳴ったのはその時だった。
「もしもし・・・」
「もしもし」
その声に挙動が止まる。
だってそれは焦がれて止まないあの声だったから・・・
「や・・・山下さん?」
やっとの想いで声を絞り出すと山下さんの声も掠れた。
「佐和子ちゃんウサギさんになりたいなんて可愛いな・・・和也くんはスペシャルマン・・・ふふっ」
子どもたちの願いには夢があった。
そんな中で・・・
「おかあさんとおとうとがはやくたいいんしますように・・・か・・・」
克己くん。
子どもたちの夢は全員叶って欲しい。
でも克己くんの願いは切実で、私の胸を締めつける。
克己くんの願いは一番最後でめくると私の下心みたいな願いが現れた。
・・・神様、神様がもし居るのなら私の願いなんて叶わなくて構いません。
でも克己くんの願いは叶えてあげてください・・・
それからまた数日が過ぎた頃、満面の笑の克己くんが私の元にやって来た。
「先生!お母さん家に帰って来るんだよ!」
「そうなの!?おめでとう!」
克己くんは嬉しそうに頷いた。
「赤ちゃんはまだもう少し入院するけど大きくなってきたって」
「そうなんだ・・・良かったね」
私の言葉を聞いて克己くんは帽子を被り園庭に飛び出して行った。
神様、ありがとうございます・・・
曇が取れたような笑顔を嬉しく思った。
それからまた数日が過ぎ、七夕の日を迎えた。
その日園では七夕集会が行われ、昨日みんなで飾り付けた大きな笹をお遊戯室に飾り付け、楽しい一時を過ごした。
梅雨の七夕は毎年天気がパッとしない。
今年は雨だった。
子どもたちを送り出し、掃除や仕事をして定時を迎えると傘をさして家に帰る。
天気同様私の心も晴れなかった。
会いたい・・・
会いたさは日々募り、山下さんの名刺を眺めてはため息をついていた。
この気持ちもいつかは薄れ消えていくのだろうか・・・
たった五日しか会わなかった人に私は恋をしてしまった。
山下さんの低く柔らかい声が耳に焼きついて離れてくれない。
―――――電話が鳴ったのはその時だった。
「もしもし・・・」
「もしもし」
その声に挙動が止まる。
だってそれは焦がれて止まないあの声だったから・・・
「や・・・山下さん?」
やっとの想いで声を絞り出すと山下さんの声も掠れた。