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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第4章 旅立ち
そこで、キョンシルが初めて見る人懐っこい笑顔を見せた。先刻の怒った顔、たった今のまるで少年のような笑顔、いつも静まり返った湖のように己れの感情を表に出さないトスがこれだけ様々な表情を見せることに、キョンシルは烈しく動揺していた。
それとも、トスは母に対してだけは、こんな表情を見せていたのだろうか。他の誰にも見せない顔を母はいつも独り占めしていた―。母の傍らで寛ぎ、男らしい優しい笑みを見せるトス、そんな彼を女らしい恥じらいと媚を含んだまなざしで見返す母。
それとも、トスは母に対してだけは、こんな表情を見せていたのだろうか。他の誰にも見せない顔を母はいつも独り占めしていた―。母の傍らで寛ぎ、男らしい優しい笑みを見せるトス、そんな彼を女らしい恥じらいと媚を含んだまなざしで見返す母。