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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第20章 飛翔する鳥
今宵は奇しくも満月であった。紫紺の夜空を幾億もの星々が彩り、ふっくらと満ちた月が手を伸ばせば届きそうなほど迫っていた。眼を凝らさずとも、月に微妙な陰影を刻む蒼白い翳まで克明に見極められる。
夜陰に薄紅色の撫子がひっそりと浮かび上がり、何とも静かな秋の宵であった。時折、忘れていたように草むらから秋の虫が啼く。
「見てごらん」
ソンが空を仰いだ。キョンシルもそれにつられるように空を見上げる。