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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第5章 偽りの別れ
「大きな町なの?」
好奇心に眼を輝かせるキョンシルに、トスが眼を閉じてしきりに何かを思い出すような表情になる。
「まあ、そこそこだ。大都市というほどでもないが、辺鄙な田舎町というわけでもない。人もそれなりに住んでいて、商家もたくさんあったしな」
キョンシルの脳裏に一つの光景が浮かび上がる。海の近くに位置する地方のとある町。家の中にいても、海鳴りの響きがかすかに聞こえ、潮騒がかすかに香ってくるような、町。