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第3章 哀しみはある日、突然に

　トスのこの風体の怪しさというか物騒なところは、商家の用心棒としては打って付けである。キョンシルはトスがこれまで刀を抜いたところを見たことがない。せいぜいが町の荒くれ者どもに手刀をたたき込んだのを目撃したくらいのものである。
　刀など使わずとも、その戦いぶりからして、トスがかなりの熟練した戦士であることは一目瞭然であった。まあ、トスの見かけに気圧されて不心得者が逃げてゆくのであれば、かえって無駄な怪我人が出なくて幸いと考えるべきだろう。