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白い飛沫(しぶき)
第13章 帰国
だが意外にも祖母は雑踏の中から、
すんなりと理恵を探し出した。

理恵ちゃん、すっかり女らしくなって…

祖母は理恵をやさしく抱きしめてくれた。


「おばあちゃん、よく私がわかったね」

そう問うと

「かわいい孫だもの、成長してもわかるわよ」と言った。

そういうものだろうか。


「なあ~んてね。
お母さんが毎年、理恵ちゃんの写真を
送ってくれてたんだよ。
でないと、やっぱりかわいい孫でも、
こんなにきれいな女が理恵ちゃんだとは
気付かなかったかもしれないわ」


人々が行き交う雑踏の中、
2人は声を出して笑い転げた。
理恵にとっては久しぶりの笑いだった。


そして、祖母と利恵の共同生活がスタートした。

いつまでも遊んでいるわけにもいかず、
理恵は堪能な英会話を活かし、
英会話教室を開設した。

理恵の英会話教室の評判は上々で
高校生からOL、ビジネスマンと
いろんな生徒が集まった。

理恵の教え方はとにかく少人数で、
というのがポリシーだった。

ある程度話せる生徒とは
ワンツーマンで授業をした。

理恵の英会話教室はすこぶる順調だった。


歳月を重ね、
10年目には5箇所で教室を開設し、 
英会話教師も数名雇い、
個人経営からそろそろ法人化を考えてもよい規模となった。

それでも理恵は現場で教師を務めた。
経営者として一線を退き、
現場は雇用者に任せてもよいのだが、
根本的に理恵は生徒と接し、
生徒と英会話をするのが好きだった。
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