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あなたとの『愛』の続きを
第3章 あなたがヒーロー?
部屋へと戻ると…彼はすべての支度が終わっていた。
頭からつま先まで真っ黒に包まれた格好は…
やはり…ヤクザのようだ。
シャツの白が眩しいくらいだった。
チェックアウトを済まし、
私をまた車へと乗せる。
「仕事は…何時からだ?」
「八時半です。」
「なら…少し付き合え。」
彼はアクセルを踏み込むと、スピードを上げた。
彼は、お洒落なカフェへと立ち寄る。
彼だけ車から降りると、すぐに紙袋を抱えて帰ってきた。
そして、それを何も言わず私へと差し出した。
「朝食だ。ここは俺の知り合いの店なんだ。
…頼んでおいた。
嫌いでなければ…食え。」
中にはベーグルサンドとホットコーヒー。
「でも…一つしか…」
ベーグルサンドは一つしか見当たらない。
「俺はコーヒーだけで、いい。」
そう言って、手を差し出した。
私は何も言わずその彼の手にホットコーヒーを手渡す。
彼も何も言わずそれをユックリと啜った。
…不思議な気持ちになる朝だった。