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あなたとの『愛』の続きを
第2章 初めての出会い。
「では…来週の木曜日に再診になります。
はい、お大事に。」
正午も30分ほど過ぎ、最後の患者さんが出て行った。
その人の後ろ姿を見届けると、私は大きな伸びをした。
「お疲れ様。結城さん。」
肩を叩かれ、振り向くと頬に冷たい缶が当たる。
「あ、ありがとうございます。」
私は個人が経営する、そこそこ大きな病院の事務をしている。
某有名大学を卒業したまでは良かったが…
特にしたいこともなく、ここに落ち着いた。
一緒に働く先輩の京香さん。
私より、3つ年上の28歳。
そして…私。
結城 葵。
恋愛なんていつしたかも忘れたような
どこにでもいる、普通の女。
毎日、仕事と家を往復して
何の代わり映えもしない日々を送っている。
…それが私には平和で一番いい。
私には出迎えてくれる家族なんていないのだから。