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悠久の恋の果てに
第6章 果
「こんな爵位、思い通りの人生を送れないなら何の意味があるんだろう」
「それでも。坊ちゃんは大久保男爵の次期ご当主です」
「好きな女と一緒になれない爵位なんか僕はいらないけどね」
また、ゆっくりと場面が歪む。
ぐにゃりと歪んだその場面がゆっくりと元に戻って
見えた景色はあまりの惨劇に目を疑った。
なに・・・これ・・・?
街中の建物が無残に壊れ焼け野原になっていた。
みさをが泣きながら血だらけの手でがれきをどけていた。
私は何時間、その行為をただただ見守っていたのだろう。
知らないあいだに涙が流れ
声も出すこともできず、ただただ見守っていた。
爪が剥がれ、血だらけになった手で
なおもがれきをどけるのを止めようとしないみさをに
どうして、声なんかかけられるのだろう。
「若旦那様!若旦那様」
やっと瓦礫の下から一人の遺体だろうか。
みさをが発見した。
ゆっくりと体全部をその中から掘り起こし
みさをは着ていたカスリの着物の片袖を肩から破りとった。
そしてゆっくりとその遺体の顔を自分の着物の袖で拭いた。
遺体には無数の涙がポタポタと落ちていった。
その涙もカスリの着物にゆっくりと吸い込まれていった。
「若旦那様。お辛かったでしょう。
もう、全部みさをが取り除きましたからね」
そう言っていつまでもいつまでも
みさをは遺体の顔を拭いていた。
「それでも。坊ちゃんは大久保男爵の次期ご当主です」
「好きな女と一緒になれない爵位なんか僕はいらないけどね」
また、ゆっくりと場面が歪む。
ぐにゃりと歪んだその場面がゆっくりと元に戻って
見えた景色はあまりの惨劇に目を疑った。
なに・・・これ・・・?
街中の建物が無残に壊れ焼け野原になっていた。
みさをが泣きながら血だらけの手でがれきをどけていた。
私は何時間、その行為をただただ見守っていたのだろう。
知らないあいだに涙が流れ
声も出すこともできず、ただただ見守っていた。
爪が剥がれ、血だらけになった手で
なおもがれきをどけるのを止めようとしないみさをに
どうして、声なんかかけられるのだろう。
「若旦那様!若旦那様」
やっと瓦礫の下から一人の遺体だろうか。
みさをが発見した。
ゆっくりと体全部をその中から掘り起こし
みさをは着ていたカスリの着物の片袖を肩から破りとった。
そしてゆっくりとその遺体の顔を自分の着物の袖で拭いた。
遺体には無数の涙がポタポタと落ちていった。
その涙もカスリの着物にゆっくりと吸い込まれていった。
「若旦那様。お辛かったでしょう。
もう、全部みさをが取り除きましたからね」
そう言っていつまでもいつまでも
みさをは遺体の顔を拭いていた。